四宮義俊 / SHINOMIYA YOSHITOSHI

四宮義俊に関する情報をお知らせ致します。


Leave a comment

東京大学臨海実験所取り壊しについて『語られない土地』

 

いつの間にか取り壊しが決まっている。いつものことでもある。設計した内田祥三はそもそも東大構内の大方の建築物を設計した張本人でもある。東大にはもう少し対応の仕方があったのではないかと思ってしまう。まるでお腹が減ったタコが自分の足を食べ始めたかのような感覚を抱きます。

honkan_72-1024x756

取り壊しの決まった『東京大学三崎臨海実験所 旧本館 S11(1936)』 F6 鉛筆 水彩絵の具

アールデコ風の外観とスクラッチタイル。内田祥三は秀作を多く残した反面、悪名高き『木造モルタル』の発案者でもある。(木造家屋の外壁をモルタルで覆うスタイル)関東大震災以降、建築物の耐火性を改善しようと試みた。性能面とは裏腹にたった数十年の経年変化で木造モルタルは従来の日本家屋とは比較し難い容態を呈することになる。景観と建築物の関係性について多くの材料を提示した建築家とも言える。

 

meiji_72

『東京大学三崎臨海実験所 旧実験棟 M39頃(1906)』 F6 鉛筆 水彩絵の具

実は今回のニュースに先駆けて既に取り壊されたしまった建物もある。経緯は不明だが施設内で倉庫のような役割をしていた(と記憶している)東京大学三崎臨海実験所 旧実験棟。ここ数年でいつの間にかひっそりと取り壊されていた。明治期の建築様式を色濃く残しているイギリス風の下見板を貼った建物だった。海風の強いこの地域において明治期の建物だというだけで希少であり、木造という性質と扱いについては本館等よりも危惧していた建物だっただけに、既に失くなっていたことを目の当たりにし、愕然とした。一国立大学の一存で壊して良いような物ではないように思えて仕方ない。昨今、東大での絵画廃棄問題等、国の最高学府の元で起こっているとはとても思えない現状にうつります。

そもそもあの土地は三浦一族の居城、新井城の本丸があった場所にあたる。三浦一族の遺構である千駄やぐらや本丸跡地は現在、東大施設内部にあり、おいそれと立ち入れない。当該の建物を含めた荒井浜一帯は、三浦一族の文化的資源、水族館としての歴史、第二次大戦を伝える遺構としてなど、様々な時代の背景を背負い土地の文化の象徴として残されていくべき文化施設だと思っていた。そのような背景を考慮してもなお昨今の縮小均衡していく日本の財政面の負担と天秤にかけた結果が今回お達しなのかもしれないと思うと、のっぴきならない状況に閉口してしまいそうになる。

土地の記憶を色濃く残した建築物はその土地を表象していく可能性のあるものであり、それらが失われるということは土地の文化も希薄になります。そしてそれらが亡くなった頃には全国にある団塊世代御用達のニュータウンがその言葉の定着よりも早く廃れていき次世代の担い手のいなくなる現象のように、『語られない土地』が出来上がり、街としてのステータスも失なわれていきます。一旦、失われてしまった文化は真新しいパネル工法の家やプレハブ小屋をいくら建ててももう戻ってきません。

 

打開策として

近年の試みとして大学でも、クラウドファンディングを行う時代になりました。昨今、国宝である『三徳山三佛寺』でさえクラウドファンディングを活用している。実際に多くの支援者が集まっているようです。

(参考URLhttps://readyfor.jp/projects/mitokusan-nageiredo)

まずはどうすれば残せるのか、可能性は探せばいくらでも残っているように思えて仕方ありません。旧態然とした使い勝手の悪い建物を建て替えたいという発想もわからなくもないですが、まずは保存できるかどうかという問いに対して真摯に向き合ってから次の課題に取り組んでいただければと思います。皆さんの街には江戸時代までとは言わないまでも、明治時代の建物が一体いくつ残っていますでしょうか?。大正時代だってあやしいところです。日本はそれほど建築物の残らない国です。

1000年とは言わないまでも、100年、200年前の建物や文化財が残っていれば、それを手掛かりにその街は歴史を刻みます。書物や写真でしか語られない歴史とは訳が違います。大げさですが何故、第二次大戦中アメリカは京都に爆弾を落とさなかったのでしょうか?何故ナチスはパリを焼き払わなかったのでしょうか?そこに文化が目の見える形で残っているというのはとても尊いもののように思えます。

内田祥三の設計した東大構内でさえも、ファザードだけ踏襲され居住まいの悪い新建築が跋扈しています。今の東大構内をよしとする美意識の中では奇跡的に状態良く残っている、東京大学三崎臨海実験所の価値を推し量ることもできないのかもしれないと思いつつも、同時に多くの改修と保全を行ってきたことも想像に難くないだけに、残念で仕方ない。

 

iriguti_72

東京大学三崎臨海実験所 旧本館ディティール S11(1936)』 F6 鉛筆

スクラッチタイルは関東大震災で煉瓦建築が大打撃を受ける時代を前後してフランク・ロイド・ライトなどの流行を機に普及した。スクラッチタイルは時が経つと剥落してしまうケースもあるが、当該の建物の保存状態は良いように思えます。

 

 

net

研究施設が建つ荒井浜の景観 F4 水彩絵の具

 

 

2017kart_40

『神奈川県三浦市 油壺験潮場 M27(1895)』 F4 水彩絵の具

近隣にある代表的な建築物として。西洋建築由来のペディメントと瓦屋根、焼成温度高めの焼き過ぎ煉瓦と、コンパクトながら近代建築好きにとっては十分すぎる見所の多い建物。油壺界隈はとにかく環境も含め近代建築の良作が豊富に残っていた。それらの価値をどうすれば伝わるのか?と考えているうちに一つまた一つと文化財が失われている。

 

suijyun_72

『日本水準原点 M23(1980) 東京都千代田区永田町1丁目』 F6 鉛筆

油壺験潮場と対をなす建物。国会議事堂から程ない場所に建つ。日本にはそもそもクラシシズムに則った建物があまり残っていない。良作も少ないように思う。ここまで堂々とクラシシズムを体現した建物を建てられたのは西洋建築の享受に積極的だった明治という時代ゆえ。油壺験潮場とセットで残っているというのが文化的に重要と思える。

 

 

 


Leave a comment

個展終了しました。

日付過ぎてしまいましたが、7月9日無事個展終了しました。トークイベントを含めお越し頂きました皆様ありがとうございました。今展示は企画された当初と比べ、河合塾の先生方のご協力もあり作品数も展示形体も徐々にスケールアップしていき、自分が思っていたよりもずっと充実した内容になった思います。ご協力いただきました皆様ありがとうございました。

また時間のある時を見計らって今回の個展の作品ページを作りたいと思います。9月にはまた個展を準備しております。現在作品を鋭意制作中です。

mado

 

 

 


Leave a comment

個展は明後日7月9日「日」までです。

 

いよいよ個展も残すところ明後日7月9日「日」16:00時までとなりました。今回の展示は河合塾美術研究所の日本画科主任の川名亜海先生とギャラリーを担当されています伊藤洋介先生が企画してくださいました。展示に際してはほぼ全てのスケッチブックのページ約1000枚を撮影していただき、その中から展示物を選別していくという大変手間のかかる方法で成り立っております。その甲斐あってとても充実した内容になったと 思っています。この場を借りてお礼申し上げます。まだ来場されてない方は是非この機会にお立ち寄りください。

Kart Invitation Program Vol.8 四宮義俊展「描くことから始まる世界」

個展詳細

河合塾美術研究所Gallery Kart

会期 2017.6/12(月)~7/9(日)
10:00〜18:00(会期中無休/日・最終日は16:00まで)/入場無料
会場 河合塾美術研究所新宿校 Gallery Kart
〒160-0023 東京都新宿区西新宿7-14-5 河合塾美術研究所1F
企画 Gallery Kart 実行委員会
協力 株式会社アートプリントジャパン
川口直樹 様
お問い合わせ フリーダイヤル0120-327-414

 

スケッチ紹介

アイリス1

ジャーマンアイリス 2017

IMG_6739b

 

IMG_6731a

 

IMG_6852b

 

IMG_6838b

 

IMG_6839b

 

IMG_6843a

 

IMG_6862b2

 

IMG_6862a

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

保存


Leave a comment

残り十日になりました。Kart Invitation Program Vol.8 四宮義俊展「描くことから始まる世界」

 

Kart Invitation Program Vol.8 四宮義俊展「描くことから始まる世界」

明日から7月ですが、個展も来月9日(日)まで、残り10日になりました。まだお越しになられていない方は是非おこしください。6月18日に行われたトークイベントの様子が河合塾美術研究所のサイト内で紹介されています。よろしければごらんください。

http://geidaiblog.kawai-juku.ac.jp/tokyo/2017/06/post-162.html

 

2017062701-thumb-500x333-17566

 

2017062702

 

DSC_0758
DSC_0756

 

個展詳細

河合塾美術研究所Gallery Kart

http://art.kawai-juku.ac.jp/kanto/institution/gll/058.html

会期 2017.6/12(月)~7/9(日)
10:00〜18:00(会期中無休/日・最終日は16:00まで)/入場無料
会場 河合塾美術研究所新宿校 Gallery Kart
〒160-0023 東京都新宿区西新宿7-14-5 河合塾美術研究所1F
企画 Gallery Kart 実行委員会
協力 株式会社アートプリントジャパン
川口直樹 様
お問い合わせ フリーダイヤル0120-327-414

保存

保存


Leave a comment

トークイベントへお越しの皆様ありがとうございました。

トークイベント無事修了しました。ご来場いただいた皆様ありがとうございました。会場に座られていた予備校生たちを見ていると当時の自分を思い出すような不思議な感覚でした。また外部から来られた方もいろいろなジャンルの方がいて質問内容も自分が想定しているものと違い驚きました。尚、展覧会は7月9日まで続いております。まだお越しになっていただいてない皆様是非ご高覧ください。

河合塾美術研究所Gallery Kart

http://art.kawai-juku.ac.jp/kanto/institution/gll/058.html

 

スケッチ紹介⑥(予備校時代)トークイベントのみで使用したもので会場には置いてありません。

33IMG_7056a

1998年頃 水彩画

 

31IMG_7046a

1998年頃 水彩画

 

33IMG_7060a

1998年頃 水彩画

 

 

 

 

 

 


Leave a comment

明日のトークイベントについて。会場までの道のりの一部が通りづらくなることがあるそうです。

明日はトークイベントの日ですが、会場の河合塾美術予備校近くにある柏木公園でデモがあるらしく一時的に河合塾へつながる道が通りづらくなるとのことです。以下、河合塾美術予備校のサイト内からの引用文です。お越しの皆様何卒よろしくお願いいたします。

http://geidaiblog.kawai-juku.ac.jp/tokyo/2017/06/post-161.html

6/18(日)に当研究所へご来訪される皆様へお知らせです。

明日6/18(日)夕方から、柏木公園で警察関係者立会いの集会が行われる予定のため、美術研究所新宿校周辺の道路が一部閉鎖されます。
完全封鎖ではありませんので、通行される方は、周辺立会いの警察関係者へ「河合塾美術研究所へ行く」などと行き先をお伝え頂ければ、通れるようになります。
明日は当ブログでもご案内しております「四宮義俊トークイベント~多彩な活動のもとにあるもの~」を開催いたします。
多くの方のご来場をお待ちしております。

 

 

イベント詳細

●アーティストトーク「多彩な活動のもとにあるもの」詳細について。

河合塾美術研究所の方から当イベントの詳細が発表になりました。
当日は河合塾内の模擬試験と連動した企画になるため、混雑が予想されるとのことで、当日整理券などを配布する流れになりました。お手数ですが、ご来場を予定してくださっている方は下記の詳細に目を通していただけると助かります。整理券の配布となるようです。皆様のご来場お待ちしております。

 

四宮義俊さんトーク「多彩な活動のもとにあるもの」お知らせ
当塾Gallery kartで展示中の四宮義俊さんによる、日本画からアニメーションまでの広い活動の秘密を探るトーク。藝大をめざした頃から大学時代、そして、社会に出られてから活動の幅を広げた経緯を回想いただき、そこに通底する「描くこと」の大切さや意味について話していただきます。関連画像、映像あり。
日時:6/18(日)14:30-16:00
場所:河合塾美術研究所新宿校
入場無料
整理券配布
時間:11:00~
場所:河合塾美術研究所1階受付カウンター
*受付でご記名願います。
*14:20開場。14:15までに必ず1階ロビーにお戻りください。
*当トークは芸大模試関連イベントで、模試受講者席が事前に確保されていることをご了承ください。
*主に会場前部ではトーク風景を撮影いたします。

*満席になり次第、整理券配布を終了いたします。

そのあとは最後部立ち見か、1Fでトークライブ映像鑑賞の選択となります。
記事元

河合塾美術研究所http://geidaiblog.kawai-juku.ac.jp/tokyo/

 

●アーティストトーク「多彩な活動のもとにあるもの」

2017年6月18日(日)14:30~16:00
場所:河合塾美術研究所・新宿校館内(当日ご案内いたします)
入場無料・申込不要

 

スケッチの紹介⑤

38IMG_7124a

2003年頃 ジャガー 野毛山動物園

 

2IMG_6193a

2005年頃 セキレイ

 

scan-001 5

2007年頃 龍禅寺三仏堂組物


Leave a comment

スケッチ紹介③ 河合塾美術研究所Gallery Kart四宮義俊展「描くことから始まる世界」

Kart Invitation Program Vol.8 四宮義俊展「描くことから始まる世界」

今回の展示用に準備したスケッチがたくさんありますので、定期的に紹介していきたいと思います。 実際の会場では動物、植物、人物等ジャンル別に展示しています。古いものは2000年前後のスケッチもありますがジャンル別ですので、最近のものとごっちゃに展示されています。

個展詳細

河合塾美術研究所Gallery Kart

http://art.kawai-juku.ac.jp/kanto/institution/gll/058.html

会期

2017.6/12(月)~7/9(日)
10:00〜18:00(会期中無休/日・最終日は16:00まで)/入場無料
会場 河合塾美術研究所新宿校 Gallery Kart
〒160-0023 東京都新宿区西新宿7-14-5 河合塾美術研究所1F
企画 Gallery Kart 実行委員会
協力 株式会社アートプリントジャパン
川口直樹 様
お問い合わせ フリーダイヤル0120-327-414

●アーティストトーク「多彩な活動のもとにあるもの」
2017年6月18日(日)14:30~16:00
場所:河合塾美術研究所・新宿校館内(当日ご案内いたします)
入場無料・申込不要

 

sketch8

2016年 オニノゲシ

 

scan-001 11

カッパドキア 2001

 

28IMG_6919a

2001 カッパドキア

ちょうどこのスケッチをした頃2001年9月の同時多発テロがあり、現地でのニュースに対する温度と、帰国後、日本で感じた温度の差があまりにも大きかったのでよく覚えています。

 

 

 

 

保存

保存